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人生で初めて「裁判傍聴」に行ったら、予想と違った件

こんにちは。あごきれウサギのみもらです。

 

思い立って、知的好奇心から裁判の傍聴のため東京地方裁判所の庁舎に行ってみました。

 

この裁判所は建物の中に、

が同居しています。裁判所の庁舎内で民事事件、刑事事件、知的財産権事件など裁判が行われています。

 

事前に読んだ傍聴体験記を参考にすると、どれも共通して初心者にオススメなのは

 ☑️ 刑事事件

 ☑️ 第1回公判

 ☑️ 地方裁判所で開かれる裁判

 

とあったのですが、みもらはすごくビビリ屋の性格なので、いきなり刑事事件を傍聴する勇気がなく、、

 

民事1件、知財1件を傍聴しました。

 

初めて傍聴する人の心構えになる情報をレポします。

※ただし全ての裁判所で同じとは限らないので、あくまで参考までに。

 

 

いきなり行っても大丈夫?

大丈夫です。平日はほとんど毎日何らかの法廷が開かれています。

自分は裁判所のサイトにある傍聴の手引きと個人での裁判傍聴の情報を参考にしました。

法廷が開かれている時間は,だいたい午前が10:00頃から12:00くらいまで,午後が1:00過ぎから4:00過ぎくらいまでです。 東京地裁では,土・日・休日と,年末年始などの特別な時期を除き,通常は毎日何らかの開廷予定があります。

裁判所|見学・傍聴案内 傍聴の手引

裁判所|個人での裁判傍聴

 

どんな裁判が開かれるか事前にわかるの?

一般の人は事前に知らされません。その日にどんな裁判が行われるかは東京地裁の1階ロビー中央にバーカウンターのようなスペースがあり、タッチパネルがいくつか用意されているので、そこで確認します。

ただ、タッチパネルの情報だけでは、事件内容の詳細を把握する事は難しいでしょう。ほとんどの人は裁判が始まってから、提訴内容がわかるのではないでしょうか。

法廷表(紙)があるとよかったのですが、東京地裁は無さそうでした。複数裁判を傍聴する場合はメモを取るか、都度1階に戻るか、しないといけませんでした。

 

事前に知っておいた方が良い情報は?

事前にこれだけは知っておくべき!と強く思うことは特にないのですが、

知っておいた方がベターだということについて書いておきます。

傍聴の手引き

裁判所のサイトにあるので、読んでおくと良いでしょう。

傍聴における注意事項は法廷の前にも書いてあるので、法廷前の待っている時間に確認することもできます。

裁判所|見学・傍聴案内 傍聴の手引

 

法廷の中の様子

傍聴に行く前に法廷の中にどのような人たちがいるのかは最低知っておくと良いでしょう。

 

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法廷ガイドより抜粋

裁判所|各種パンフレット

 

法廷での手続きの流れ

刑事事件、民事事件でそれぞれ手続きの流れが異なりますが、この流れも押さえておくと、次は何が行われるのかが抑えられて良いと思います。 

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刑事事件の手続きの流れ:法廷ガイドより抜粋

 

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民事事件の手続きの流れ:法廷ガイドより抜粋

裁判用語 

初心者は、裁判長や弁護士が話している内容の中に難しい単語が登場すると何を言っているのか分からなくなる事があります。自分はそうでした。

事前にいくつかの専門用語を抑えておくと良いでしょう。

 

民事裁判編

訴状:原告が訴えを提訴するために裁判所に提出した書面

答弁書:訴状に対する被告の応答を書いた書面

準備書面:自分の言い分を書いた書面

争点:争いのポイントや証拠を整理し、確定する

集中証拠調べ:証人などの尋問を集中的に行う

認否:弁論の中で、相手方の主張する事実を争うかどうか答えること。争わない場合は「認める」、争う場合は「否認する」または「不知(知らない)」と述べます(争われた事実については、証拠によって証明されなければなりません)。

甲号証:原告が提出した書証(証拠書類)

乙号証:被告が提出した書証

 

刑事裁判編

公訴事実:起訴状に書かれている犯罪の内容(これを検察官が立証しなければなりません)

甲号証:検察官が請求する証拠のうち、目撃者は被害者の供述調書

乙号証:検察官が請求する証拠のうち、被告人自身の供述調書

同意・不同意:相手方が提出した書類を取り調べることを認める場合は「同意」、反対する場合は「不同意」と述べます(書証は、原則として、相手方の同意がなければ証拠とする事ができません。)

論告:証拠調べが終わった後に、検察官が事実や法律の適用などについて述べる最終意見

求刑:論告のうち、刑についての意見が求刑

最終弁論:弁護人の最終の意見陳述

情状:犯行の動機や被害弁償の有無など刑を決める上で参考となる事実

 

傍聴券は必要なの?

ほとんどの裁判は傍聴券なしで傍聴可能です。

傍聴券が必要な裁判はこちらで確認ができます。

裁判所|各地の裁判所の傍聴券交付情報

 

傍聴券なしの裁判の傍聴

⑴裁判所にいく

⑵セキュリティチェックを通過する

⑶カウンターで傍聴する裁判の時間・法廷をチェックする

⑷時間に近くなったら法廷前に集まる

⑸携帯の電源を切ってから法廷に入室する

の5ステップです。

 

傍聴券ありの裁判の傍聴

私が訪れた日は1件だけ傍聴券が必要な裁判がありました。

注目の裁判(優生手術を巡って国を相手取った国家賠償請求裁判)で、入り口の前あたりで13時過ぎ〜13時40分ごろまで整理券の配布が行われました。

 

通常は、その後抽選によって傍聴できる人が決まるのですが、その日は傍聴希望者が定員(60名程度)に満たなかったことから、全員傍聴可能となりました。

裁判所まで足を運んで抽選落ちとなると少しモヤモヤするので、今回は通ってよかったです。

 

傍聴者はそのまま、裁判所の官内に入り、セキュリティチェックを受けます。空港の搭乗ゲートのような金属探知をするゲートを潜り、手荷物検査を受けます。

空港とは違ってペットボトルは持ち込みOKでした。

 

その後、開廷時間に近くなったら、傍聴券に記載された法廷に向かいます。今回の法廷は、103号法廷でしたので、1階の北側に傍聴券を手にした軍団でぞろぞろと向かいます。

 

服装は自由? 

原則自由、節度のある身だしなみであればOKそうです。

男性はスーツの方が多い(ぱっと見8割くらいスーツ)ように感じられました。

女性の方も過度な露出は避けるなど厳粛な法廷の場にふさわしい格好が良いでしょう。

 

メモはとっても大丈夫?

メモはOKです。しかし録音や写真はNG。法廷内だけでなく、裁判所の敷地内での写真もNGです。

 

傍聴の感想

民事 国家賠償請求裁判の傍聴

被告:国 原告:個人

今話題の強制不妊の国家賠償請求裁判でした。

第3回原告側論述がメインでしたが約20分で終了。

初心者は初回の審理を傍聴すべし!と言う鉄則をどこかのサイトで見たのですが、これは破られたし。

 

法廷の中は、ディスプレイも複数台用意されていて少し近代的。

 

この法廷ちょっと特別だったみたいです。

事件内容を考慮した、原告人や傍聴者に向けた配慮から、表示された資料も字が大きくて読みやすい、弁護士の発言も声が大きく聴きやすい、手話通訳士もいる、など特別な法廷でした。

 

ただ、期待した弁論はほとんどない。知的好奇心はあまり満たされない結果。

 

正直、単語が難しくて聞き取れなかった部分も多かったのですが、原告側の主張はこう。

原告側の主張

・強制的な優生手術は憲法17条、憲法13条に対する違法行為である

・被害を回復するための法律を制定する必要がある

 

被告側の反論

・優生手術は20年以上前の事で時効である

 

原告側の反論

・行った違法性から判断して国が自らを時効とする事が許されるのか

 

そして、論点は憲法17条の国家賠償請求に関する内容と憲法13条の解釈に移りましたが、被告側が過去の判例に対しての不理解がある事と、被告側の論点の内容が不明瞭な事から書面での質問書の提出という運びになったようです。次回は2月(日付は聞き取れず)に審理が行われるようです。

(素人が聞きとった内容なので漏れている事はありそうですが・・・)

 

素人から見ると、「不理解」との言葉を法廷の場で使っている被告側が不利な印象を受けました。

 

強制不妊については、新聞記事で見た事はあったのですが、改めてこのような事がつい25年前頃まで行われていたと言う事実を突きつけられました。

今のダイバーシティを是とする社会では到底許されない行為だと思います。

強制不妊とは

「不良な子孫の出生を防止する」目的で、旧優生保護法に基づいて行われた不妊手術。遺伝性疾患、遺伝性ではない精神疾患や知的障害のある人について医師が申請し、自治体の優生保護審査会の決定などを条件に実施された。本人の同意は不要で、国の統計では、1949〜92年に全国で約1万6500件、うち北海道は全国最多の2593件に上る。国を相手取った訴訟のほか、救済立法を模索する国会議員の動きも出ている。

朝日新聞2018年05月18日 朝刊

 

 

知財裁判の傍聴

被告:某メーカー 原告:個人

知財の裁判って他もこうなのでしょうか?こちらは5分程度であっけなく終了。何も得るものなし。

書類の提出がメイン。裁判官から資料の不備など3点意見があり、その内容について弁論準備に付する上の合意がなされて終わり。

 

正直に、素人目ではこれってメールのやり取りだけで良くない?と思ってしまう内容。効率的にやればもっと早く審理は進むのでは?

 

その後別室で被告側と原告側が裁判官と今後の進め方について話し合う流れに。

もちろん、別室には傍聴者なし。 

 

どうやら、この別室での手続きは、弁論準備手続といって、民事訴訟法でも合法化されている手続きのよう。

 

これは・・・裁判が形骸化しているとしか思えない。

審議の本質は、別室での会議と資料でのやり取りの方にあって、裁判にはない。

 

私がこの時感じた違和感に共通する記事があったので、リンクします。

 

note.mu

 

裁判手続きのIT化について

知財裁判についてぶっちゃけメールで良くないと思ってしまったのですが、ちょっと調べて見た所、裁判手続きなどのIT化について検討が進んでいるようです。

裁判手続等のIT化検討会- 日本経済再生本部

 

まとめ

傍聴についての個人的感想をまとめます。

 

・初心者はやはり初回審理からが妥当

知財裁判は自分にとっては傍聴するに値しなかった

・XXが足りていないのでまた次回という流れが非合理的だと思った

・知的好奇心を満たす弁論は期待値低めなのかも