いまから。ここから。

気になること。日々の備忘録。あと、読書。

『生命の暗号 あなたの遺伝子が目覚める時』村上和雄

こんにちは。あごきれウサギのみもらです。

 

少し古い本ですが、遺伝子の可能性を示唆されるとても興味深い本でした。

 

タイトルからは少しとっつき憎い印象を受けましたが、読んでみると内容は至ってわかりやすく、遺伝子の知識がほとんどゼロの私でも大変読みやすかったです。

 

 遺伝子の構造と原理は、全ての生物に共通

著者の論じられている内容で特に興味深かったのは、次のような内容です。

 

驚異的なのは、遺伝子の構造と原理は、全ての生物に共通していることです。現在、地球上には二百万種以上の生物がいると言われていますが、カビも大腸菌も植物も動物も人間も同じ原理。ということは、あらゆる生物が同じ起源を持つことも示唆しているように思われます。

 

カビも人間も同じ起源・・・。そう考えると、生きとし生けるもの全てが愛おしく思えてきます。とはいえ、カビ菌と一緒はちょっと嫌ですがね。

 

遺伝子のON・OFF

そして、どうして人間がカビ菌にならないのか(カビ菌はちょっと極端かも)、髪の毛が爪にならないのか(これならまだわかる)というと、爪になるための遺伝子をOFFにしているからだとか。人間の全体でONになっている遺伝子はわずか10%ほど。良い遺伝子をONにすることで、これまでなかった力が発揮出来るというのです。

 

そんなお話を聞くと、どうしてもドラゴンボールの世界を感じてしまいます。ドラゴンボールの悟空もクリリンが死んだショックとフリーザへの怒りから突然眠っていた遺伝子がONになりスーパーサイヤ人に進化したのでしょうか。ドラゴンボールの話はフィクションなので、置いておいて・・

 

では、どうしたら遺伝子をONにできるのか。そこには、「プラス発想」が良い働きをするそうです。著者は、プラス発想が良い理由を、「エントロピーの法則」を通してわかりやすく解説してくれています。

 

物質世界では一般的に秩序のあるものは、秩序のないものへと向かう方向性がある(中略)これを、エントロピーの増大といい、物質世界の一般則として認められているものです。

 

例えば、透明な水の中に赤いインクを一滴垂らします。すると、インクの色は拡散しますね。これがエントロピーの増大によるものなのだそう。

 

そして、人間も物質で成り立っているので、エントロピーの法則が当てはまるのです。

人間が生まれた瞬間から、崩壊と死の方へと向かうのは、秩序のない方向へ踏み出すような遺伝子が体の中に存在しているとしか考えられない。

 

プラス発想で遺伝子は活性化する? 

そのため、人間はどうにかしてエントロピーを減少させなければいけない。そこで重要な役割が遺伝子とそれによって作り出される酵素、それから「プラス発想」です。

 

「プラス発想」によって遺伝子はエントロピーを減少させようと頑張ってくれるのだとか。特に辛い経験をした時も、プラスの面をなんとかみつけて「よい方へ展開する」という風に広い視野でとらえて行こうということを、遺伝子の観点から教えてくれる本です。

 

神のような存在はあるのか

そして本書は全体を通して人間が生きているという奇跡を教えてくれました。

人間の約60兆個の細胞の一つ一つに遺伝子が書き込まれていること。そして、それらの細胞が一つ一つ役割を持って必要な機能をONにして心臓や皮膚や爪などを作り出していること。人類がカビ菌と違って精巧な生き物に進化したこと、それは本当に奇跡であること。著者(科学者)の視点からも、何か神のような存在(Something Great)があるとしか思えないこと。

 

人間がこの世に誕生したという奇跡を感謝して、今ここに自分が生きているという現実にも感謝して、これからの子供達にこの遺伝子をつなげていきたいと心から思うことができました。

 

そして、プラス思考は遺伝子レベルで見た時でも重要な役割を果たすのですね。

 

〔文庫〕生命の暗号 (サンマーク文庫)

〔文庫〕生命の暗号 (サンマーク文庫)

 

 

今週のお題「読書の秋」